アーキテクチャ特性の理解#

この章では,CSVファイルを直接処理する実装Aのアーキテクチャ特性について詳しく分析します.性能特性やボトルネック箇所を理解することで,システムの改善点を明確にしていきます.

実装Aのアーキテクチャ特性#

まずは実装Aのアーキテクチャについて整理しましょう.実装AはリクエストをPHPで受け取った後,ファイルシステム上のCSVを検索し,ソートされた検索結果をレスポンスとして返します.

リクエスト → PHP → ファイルシステム → CSV解析 → 検索・ソート → レスポンス

性能特性#

実装Aは,CSVファイルを直接読み込んで処理するシンプルなアプローチです.データベースを使用せずにファイルシステムを活用するため,軽量で理解しやすい構造になっています.

長所#

  • シンプルな構造: データベース不要

  • メモリ効率: 必要な分のみ読み込み可能

  • 柔軟性: 独自のデータ構造・アルゴリズム適用可能

短所#

  • ファイルI/O重: 毎回ファイル全体を読む必要性

  • CPU集約的: 文字列解析・検索処理の負荷

  • スケーラビリティ: 同時アクセス時のファイル競合

ボトルネック分析#

実装Aにおいて存在する主要なボトルネック箇所をそれぞれ分析していきましょう

主要なボトルネック箇所#

  1. ファイル読み込み時間

    <?php
    // 1.1GBファイルの読み込み
    $handle = fopen('/data/geotag.csv', 'r');
    ?>
    
  2. CSV解析処理

    <?php
    while (($data = fgetcsv($handle)) !== FALSE) {
        // 1000万行の解析処理
    }
    ?>
    
  3. 文字列検索処理

    <?php
    foreach ($tags as $tag) {
        if (strpos($tag, $search_term) !== false) {
            // マッチング処理
        }
    }
    ?>
    
  4. 結果ソート処理

    <?php
    usort($results, function($a, $b) {
        return strcmp($b['date'], $a['date']);
    });
    ?>
    

次のステップ#

実装Aのボトルネック分析を完了したら,具体的な最適化アプローチについて学んでいきましょう.